【なぜあの人の話は心に残るのか】“イメージできる話し方”が人を動かす理由

思考法・マインドセット

🌱 〈筆者の実体験〉「なぜ自分の話は響かないんだろう?」と悩んでいた頃

正直に言うと、以前の私は「説明が上手い人」になろうと必死でした。
でも、どんなに論理的に話しても──相手の反応は薄かったんです。

たとえば会社員時代。
後輩に仕事のやり方を教えるとき、私はいつも
「こういう手順で、これをこうすれば効率が上がるよ」と“正しい方法”を伝えていました。
けれど、後輩は「なるほど」と言いながらも、次の日には同じミスをしてしまう。

そのとき、私は心の中でこう思っていました。

「ちゃんと説明したのに、なんで伝わらないんだろう?」

ある日、同じ後輩が別の先輩からアドバイスを受けていました。
その先輩は、こう言ったんです。

「たとえばさ、サッカーでパスを出す前に周りを見るでしょ?
あれと同じで、メールを送る前に“全体を見る”のが大事なんだよ。」

その瞬間、後輩の顔がパッと明るくなりました。
「なるほど、イメージできました!」と笑顔で返していたんです。

──衝撃でした。
同じ内容を伝えているのに、“伝わり方”がまるで違う。
その日を境に私は、「説明のうまさ」ではなく「イメージできる話し方」に意識を向けるようになりました。

💭 それからというもの、私の話を聞いた人が「それ、めっちゃわかります!」と共感してくれることが増えたんです。
同じ内容でも、“イメージできる言葉”で伝えるだけで、反応が変わる。
そして気づきました。

人は「情報」では動かない。
「映像として思い浮かべられる話」に心を動かされる。


💡 なぜ“イメージできる話”は心に残るのか?

「イメージできる話」は、聞き手の脳の仕組みをうまく使っています。
実はこれは心理学や脳科学でも裏づけられている現象なんです。

📘 参考:『脳が教える!話す力・聞く力』(著:茂木健一郎)
脳科学者の茂木氏は、人が話を聞くときに活性化する領域に注目しています。
論理的な説明を聞くときは「言語野(ブローカ野)」が主に働きますが、
情景を想像できる話を聞くときは「視覚野」や「海馬(記憶を司る部分)」まで活性化するんです。

つまり、

イメージできる話は“脳内で映画のように再生される”
ということ。

だからこそ、
ただの説明よりも記憶に残り、感情が動き、行動にもつながりやすくなるのです。


📖 心理学的に見る「伝わる話し方」とは?

行動心理学者のロバート・チャルディーニ(『影響力の武器』著者)はこう言います。

人は“理解したこと”よりも“感じたこと”に動かされる。

これは“論理”よりも“感情”が行動を決定するという、人間の根本的な特性です。
そして感情を動かす最も効果的な方法が、**「イメージを喚起する言葉」**なのです。

たとえば──

  • 「頑張ろう」よりも「もう少しだけ足を前に出してみよう」
  • 「整理しよう」よりも「机の上のコップ一つを片付けてみよう」

このように、映像として思い浮かぶ言葉は脳の“感情系”を刺激します。
心理学ではこれを「イメージ化効果」と呼びます。
具体的なイメージがあると、脳は“仮想体験”をしているように反応するのです。

スタンフォード大学の研究によると、
人間の脳は“想像したこと”と“実際に体験したこと”を明確に区別できないことがわかっています。
たとえば、「レモンをかじる」と想像するだけで、口の中に唾液が出てくるのはその典型です🍋

つまり、言葉でイメージさせる=体験させること
これが、「イメージできる話」が人を動かす最大の理由なのです。


💭 では、なぜ多くの人が“イメージできる話”をできないのか?

それは、「伝えよう」としすぎてしまうからです。
多くの人が、相手に理解してもらうために、抽象的な説明を選びます。

たとえば「大事なのはコミュニケーションだよ」と言っても、
相手は「どうすればいいの?」と戸惑ってしまう。
しかし、「まずは相手の名前を呼んでから話しかけてみよう」と言えば、行動がイメージできます。

つまり、

抽象的な言葉は“正しい”けれど、心には届かない。
具体的な言葉は“リアル”だから、心に残る。

この違いが、伝わる人と伝わらない人の分かれ道です。


✨ 「伝わる人」は、心の中で“映像を一緒に見ている”

TEDトークなどを観ていると、印象的なスピーカーほど、
話の中で「情景」や「比喩」を上手に使っていることに気づきます。

たとえばスティーブ・ジョブズの有名なスピーチ。
彼はスタンフォード大学の卒業式でこう語りました。

「人生の点と点は、あとからつながる。」

この“点と点”という表現が、私たちの頭の中に道のようなイメージを生み出します。
だからこそ、あのスピーチは世界中で心に残り、何年経っても語り継がれているのです。

🎯 〈解決編〉“イメージできる話し方”を身につける3ステップ


STEP1|「抽象語」を「映像語」に変える 💬

多くの人が話をするときに使ってしまうのが、「抽象語(ちゅうしょうご)」です。
たとえば、次のような言葉👇

  • 「頑張る」
  • 「工夫する」
  • 「集中する」
  • 「信頼関係を築く」

これらは間違いではありません。
ただ、聞き手が具体的に想像できないという問題があります。

ここで意識したいのが、「映像語(えいぞうご)」です。
つまり、“頭の中に映像が浮かぶ言葉”に置き換えること。

たとえば──

抽象語映像語(イメージできる表現)
頑張る今日1時間だけ机に向かう
工夫する手順を紙に書き出してみる
集中するスマホを机の引き出しにしまう
信頼を築く相手の名前を呼んで話す

このように、行動がイメージできる具体表現に変えるだけで、
相手の脳内では“映像”が再生され、理解も感情も動きます。

📘 出典:『言葉にできるは武器になる』(梅田悟司)
梅田氏は、広告コピーライターとしてこう語っています。

「人を動かす言葉とは、聞いた瞬間に“自分の中に情景が浮かぶ言葉”だ。」

たとえば、
「頑張れ」ではなく「あと3歩だけ進もう」。
この3歩という映像があるだけで、人は“できそう”と思える
それが“行動を生む言葉”です。


STEP2|「比喩」で“脳内のスクリーン”を動かす 🎬

「比喩(ひゆ)」は、イメージを伝える最強のツールです。
人の脳は“例え”を聞くと、過去の記憶を参照して理解しようとするため、
抽象的な概念が瞬時に体感的に変わるのです。

たとえば、
「自信がない」という抽象的な感情を、こう言い換えてみます👇

「心の中の灯りが小さくなって、手元が見えない感じ。」

たったこれだけで、相手の心の中に“映像”が浮かびます。
つまり、“体感として理解できる”んです。

📘 出典:『ストーリーブランディング』(ドナルド・ミラー)
ドナルド・ミラーはマーケティングの世界でこう述べています。

「人は情報ではなく“ストーリー”を理解する動物だ。」

つまり、あなたの話が“物語”や“情景”のように見えたとき、
相手は自分ごととして受け取ります。

💡コツは、「もし映画にするなら?」と想像して話すこと。
・主人公(誰が)
・場面(どこで)
・行動(何を)
・感情(どう感じたか)
この4要素を意識するだけで、あなたの話は一気に“映像化”されます🎥


STEP3|「五感の言葉」で“記憶に残る”話をする 🌈

心理学的に、人が強く記憶に残すのは「五感で感じた体験」です。
視覚(見る)・聴覚(聞く)・嗅覚(におい)・味覚(味)・触覚(感触)
これらの要素を言葉で再現できる人は、話すだけで印象に残ります。

たとえば──

「カフェの窓際で、朝の光がノートに落ちてきた」
「冷たい缶コーヒーを握りしめながら、深呼吸した」

こんなふうに、“感じる言葉”を少し入れるだけで、
相手の脳はその情景をリアルに再生します。

📘 出典:『話すチカラ』(齋藤孝)
齋藤氏はこう述べています。

「良いスピーチは、“体で感じた記憶”を呼び覚ます言葉でできている。」

そして、これはプレゼンでも日常会話でも同じ。
五感の言葉がある=リアリティがある。
リアリティがある話は、信頼され、記憶に残ります。

💡練習法:
毎日1回、「今日を五感で描写する日記」を書いてみてください。
「音」「匂い」「色」「手触り」を言葉にする習慣が、
“イメージできる話し方”の筋力を育てます。


🌿 実践例:筆者が変えた「伝え方」

ここで、私の過去の失敗をもう一度振り返ってみます。

以前の私は、打ち合わせでこう話していました👇

「もっとスムーズに作業を進めましょう。」

結果、誰も動きませんでした。

そこで、“映像語+比喩+五感”を意識してこう言い換えたんです👇

「作業の流れを、一本の道だと思ってみてください。
途中の石ころ(無駄な手順)を一つずつどけていきましょう。
そうすれば、最後までスッと通れるようになります。」

その瞬間、メンバーの表情が変わり、
「なるほど、それならまず○○を削除しましょう」と自発的な意見が出てきたんです。

「伝わる」とは、「映像を共有すること」なんだと実感しました。


💫 まとめ|“見える言葉”で人は動く

人は「理解したこと」よりも、「感じたこと」で動きます。
その“感じる”を引き出すのが、「イメージできる話し方」なのです。

今日からできる一歩として──

🌱 STEP1|抽象語を映像語に変える
→「頑張る」ではなく「3分だけ机に向かう」

🌷 STEP2|比喩で情景を描く
→「不安」は「霧がかかって前が見えない」

🌼 STEP3|五感の言葉を添える
→「朝の光が差し込む」「手の中が少し温かくなる」

たったこれだけで、あなたの話は相手の心に“映像”として残ります。
そしてその映像が、相手の行動を変えるきっかけになるのです。


✨ 最後に:行動の一言

「今日の会話の中で、ひとつだけ“映像が浮かぶ言葉”を使ってみてください。」

たとえば「頑張って」ではなく「あと一歩、足を出してみよう」。
その小さな一言が、人の心に火を灯すことがあります🔥


📜 筆者プロフィール
✍️ プロコピーライターとしての経験を活かし、
行動心理・思考法・習慣づくりを発信しています。
実体験をもとに「今日から変われるヒント」をお届けします💡

📣 今後の発信予定とご案内
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• 成果につながる習慣を設計する実践メソッド

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